映画の公式サイトを見ていたら、本編よりも原作を読みたくなって、書店で購入。登場人物の一人一人のモノローグ形式の連作なので、読みやすかった。
ルームシェアをしている4人の男女の話。そこに、18歳の少年が加わり、物語は展開していく...と、映画の予告では言っていた。
確かにその通りなんだけど、物語は展開してないような気がする。
同じところをグルグル回っているような、あるいは動いていないような。
今の希薄な人間関係をそのまま描いている。
4人で暮らしていながら、誰も自分以外のものに興味も関心も持たず、それでいてしっかり観察はしていて・・・誰一人として本心や本当のことを暴いたりしようとはしない。
それさえしなければ、いつまでもそこにいられるから。
解説で、川上弘美氏が「何度読んでも怖い」と書かれているのを読んで、何がそんなに怖いかなあと思いつつ読み進めていった。読み終わった後もそれほど「恐怖」に思うような話じゃないよなぁと思っていたけど、いま、こうしてレビューを書くために筋を思い出し、それぞれの場面を思い出していると、なるほど、怖い話かもしれない。
「誰でもいいから、人を殺したかった」と平然と語る通り魔がいた。
「母親が口うるさかったので、殴ったら死んだ」と語る息子がいた。
連日、そんなニュースを聞かない日を数えたほうが珍しくなってしまったこの頃。
この物語には、そんな信じられないことを言ったりやったりする人たちを、何気なく肯定し黙って見過ごす人たちがいて...
最終章の最後の数ページに書かれていることに、しばらく気が付かず、何度か戻って読み直して、ようやく理解した結末。通り魔や無差別殺人を起こす一握りの人より、怖い存在のほうが遥かに多いことを示唆した話だったような気がする。



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